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最高裁判所第一小法廷 昭和34年(あ)1958号 判決 1960年3月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人細谷芳郎の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、記録によれば、第一審において弁護人は所論供述調書謄本を証拠とすることにつき、その内容に特信性がない旨を述べたに止まり、その余の点については異議のなかったものと認められ、従って、この点に関する原判示は引用の判例に違反するものとは認められない。(なお、昭和二四年(れ)第三六八号、同年九月一日、最高裁判所第一小法廷判決参照)

同第二点は単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

弁護人大滝亀代司および同寺島景作の上告趣意は、事実誤認、単なる訴訟法違反、量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

弁護人清瀬一郎および同内山弘の上告趣意第一点中判例違反をいう点については、刑訴三三五条二項にいう刑の加重減免の理由となる事実とは、犯罪の構成要件に該当する事実以外の事実であって、法律上当然刑が加重減免される理由となる事実として規定されたものをいい、公職選挙法二五二条三項にかかげる裁量的事実のごときはこれに該当しないものと解するを相当とし、従って、原判決は引用の判例に違反する点は認められない。その余は単なる訴訟法違反の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二点は違憲をいう点もあるが、実質は単なる訴訟法違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお弁護人細谷芳郎の上告趣意第一点に対する前記説示参照)

よって、同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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